
クレームガード保証ってそもそも何?
クレームガード保証は業界内でも否定的な意見が多い
クレームガード保証に入っておいた方がいいケースも中には存在する
ガリバーとビッグモーターの2社のみですが、クレームガード保証という仕組みを導入しています。
この、クレームガード保証とは平たく言うと、『あなたから買い取った車に重大な不具合が見つかった場合、本来であればあなたに損害賠償をします!でも、クレームガード保証に入ってくれていたら100万円までは損害金を請求しません』というものです。
このクレームガード保証に対しては否定的な意見が多く、法律論的にもガリバーの言い分には疑問符が付けられることが多い部分です。
今回は、このクレームガード保証について考察していきます。
クレームガード保証は必要なのか?
ガリバーで中古車を売ったことがある人ならクレームガード保証に加入することをすすめられると思います。
そのクレームガード保証の料金システムですが、ガリバーの買取価格100万円までであれば5000円~1万円以内くらい、100万円以上でガリバーが買い取ってくれた場合は1万円~3万円くらい(輸入車の方が若干高い)です。
仮に、国産車で45万円で車をガリバーに買い取ってもらってクレームガード保証を付けようと思ったら8900円が必要になります。
国産車で15万円で車をガリバーに買い取ってもらってクレームガード保証を付けようと思ったら5900円が必要になります。
なお、保証限度額は一律100万円となっています。
少なくとも15万円の買い取り金額で100万円の損害賠償が来ることはあり得ませんから、買取金額が少なかった場合はクレームガード保証に入る必要性は低いでしょう。
私は、基本的にクレームガード保証というシステムそのものに対して、『加入する必要性はかなり低い』という立場です。
クレームガード保証は業界内でも否定的な意見が多い
クレームガード保証は業界内でも否定的な意見がかなり多いです。
その理由として挙げられるのは『プロの目で判断して責任を取って買い取ったはずなのに、一般人である売り主(あなた)に瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)を求めるのは違うんじゃないの?』というものです。
『瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)で守られるのは一般の人であり、プロであるガリバーは一般の人じゃないよね?』っていうのが法律論的にも否定的意見が多い要因でもあります。
査定のプロが見て修復歴を見つけられないのは業務上の過失なのでは?という意見もありますね。
一般社団法人自動車公正取引協議会も
「買取店(ガリバーやビッグモーター)はプロとして査定し買い取っているため、売り主が欠陥や不具合を知らずに売却した場合、その責任は買取店(ガリバーやビッグモーター)側にある」(プロなので一般ユーザーと同列ではない)と言っています。
ガリバーやビッグモーターの側からもクレームガード保証の意義を考えてみる
車を売る側からしてみれば『プロなんだからちゃんとした目利きの査定士をおくべきことであり、下手な車を掴んだらプロとして目利きのなさを反省すべき』という意見になると思います。
しかし、一方の側からの意見だけ掲載するというのは公平性に欠けますので、ガリバーやビッグモーターの側からもこのクレームガード保証のメリットなどについて考えてみたいと思います。
クレームガード保証のメリット、存在理由としては
①30分程度の査定時間ではチェックしきれない部分がある
②売り主(あなた)が中古で購入して、それをガリバーに売った場合、あなたも重大な瑕疵(事故歴や修理歴)を把握していない場合がある
③売り主(あなた)にとって修理ではないと判断したことであっても、中古車業界の基準では修理だとジャッジされることもある
④売り主(あなた)が忘れていただけで、申告漏れをしている可能性もある
⑤業者の中には、ありもしないでっち上げで契約が成立した後から減額を求めてくる悪徳業者もいる
⑥売り主(あなた)の中では売って終わりですが、数か月後にはあなたが売った車に誰かが乗っています。新しい所有者のクレームから売り主(あなた)を守ることができます。
他にもあるかと思いますが、ざっと思いつくのはこのあたりですかね。
まず①ですが、査定時にチェックできるのは『走行させないでわかる不具合』に関してだけです。
走行させてみるとエンジンなどの機械系の不具合が出てくることもあり得ますので、そこに対する保証になります。
次に②は、あなたの前のオーナーが事故を起こしていたり、修理をしていた事実をあなたが把握していなかったケースです。
一般社団法人自動車公正取引協議会は
>売り主が欠陥や不具合を知らずに売却した場合
と言っていますが、あなたが意図的に隠していたのか、あなたの前のオーナーが意図的に隠していたのか(または申告を忘れていたのか)判断しにくい微妙なラインの問題です。
無用のトラブルになるくらいなら、数千円払った方がリスクヘッジにはなります。
③、④は似た項目なのでまとめます。売り主(あなた)の認識が中古車業界の一般的なルールとズレている場合もあります。欠陥や不具合を知りつつ売ってしまったと受け取られかねないリスクは回避できます。
⑤はちょっと次元の低いお話ですね。世の中には、契約後に架空の瑕疵を指摘してきて減額を要求してくるトンデモ業者も存在します。ガリバーは最大手なのでそういう心配はないと思われます。
⑥は、②と絡んできた場合に厄介です。新しい所有者が重大な瑕疵(事故歴や修理歴)に気が付いたとします。あなたも重大な瑕疵(事故歴や修理歴)を把握してませんので、そういうリスクから守られるというのはクレームガード保証のメリットです。
ガリバーとビッグモーターがやってるクレームガード保証って何? まとめ
ガリバーとビッグモーターのクレームガード保証ですが、多くのケースでは加入する必要性が低いと思います。
そもそも、ガリバーが新しい所有者に中古車を販売してから問題が発覚したとしても、その損失はガリバーが被るべきではないかと考えることができるからです。
一般社団法人自動車公正取引協議会もガリバーはプロなのだから、一般ユーザーと同列ではないと言っています。
しかし、現実問題としてガリバーとビッグモーターという2強はこのクレームガード保証を導入しています。
つまり、『私(ガリバー)は売り主(あなた)にクレームガード保証への加入をおすすめしましたよね?でも売り主(あなた)はそれを断られました。売り主(あなた)は修理歴などないと言っておられたのに、●×の部分を修理してることが後から発覚しました。これはどういうことですか?』というような②③④あたりのケースで揉め事に発展した場合は具合が悪いです。
後々問題になりそうな気配がある中古車に関してはクレームガード保証を利用するのもアリかもしれませんね。
また、他社よりもガリバーの買取査定額が頭一つ抜けて高い場合もクレームガード保証を利用を考えた方がいいかもしれません。
ガリバーの査定士だけが、何かしらのマイナス要素を見抜けずに1社だけ高い査定額を出している可能性もあり得るからです。